DVD-ROMの2層
DVDプレスに利用されるDVD-ROMの基材となるディスクの厚さを0.6ミリとし、2枚の基材を貼り合わせて使用する規格を採用したことによって、2層構造のディスクも作ることができるというメリットも生まれました。2層ディスクは、それぞれデータ記録面を持つ2枚の基材が貼り合わされていますが、1層目(レーザー光の照射側に近い回)には半透明薄膜、2層目は反射膜が使用されています。2層ディスクでは、レーザー光は片側から照射して、半透明膜からの反射光で1回目の信号を再生し、半透明膜を透過して反射膜で反射した光で2層目の信号を再生します。1回目に半透明膜を用いた結果、反射光量が小さくなるので、単層ディスク(データ記録面に反射膜を用いた1回ディスク)より記録密度を約1割低くして余裕を確保しています。そのため、2層ディスクは、1層ディスクの記憶容量の2倍にはなっていないのです。
DVD-ROMの2層
DVDプレスに利用されるDVD-ROMのデータ記録面を持つ2枚の基材を貼り合わせるといっても、まったく同じ構造の基材を2枚貼り合わせるわけではありません。特にデータ記録面に、1層目に半透明膜を、2層目に反射膜を用いている2層ディスクは、ディスク面からデータ記録面までの距離が薄くても厚くても収差によりレーザー光を十分に絞れずにきれいな焦点が作れなくなります。つまり、1層目と2層目のデータ記録面間の厚み(距離)が重要になってくるわけです。この厚みが薄いと1層目と2層目は分離されてしまい読めなくなってしまい、2層目のデータ記録面までの厚みが大きくなるとレーザー光の収差も大きくなってしまいます。どちらに偏りすぎてもデータを正確に読み出すのに支障をきたしてしまうのです。 DVDプレスに利用されるDVD-ROMの単層ディスクでは、規格にしたがって基材の厚みの誤差は±0.03ミリ以下にする必要があります。しかし、2層ディスクでは、記録密度を低く設定しているので若干大きな誤差が認められており、レーザー光の照射側のディスク表面から1層目のデータ記録面までの厚みをA、ディスク表面から2層目までの厚みをA+Bとしたときに規格値は「A> 0.55ミリ」「A十B<0.64ミリ」と定められています。中間層Bの数値も規格化されており、0.04ミリから0.07ミリとされていますが、誤差を含めてもA+Bを規格内に製造するためには、Bは0.04ミリ以上0.06ミリ以下で作ることが望ましいと言えます。 DVDプレスに利用されるDVD-ROMは、ディスクを再生するときに内周側から外周側へ向かってデータを読み出していきます。これは2層ディスクでも同じです。さて、1層目の再生が終わると2層目の再生を始めるわけですが、この時、最外周にあるピックアップはもう一度最内周へ向かって移動をする必要があるのでしょうか。これは、絶対に必要というわけではありません。実は2層目を読み出す方法は2通り用意されていて、DVD-ROMの原盤を作るときにどちらかを選択できるのです。ひとつは、1層目と同じように内周側から外周側へ向かってデータを読み出していく方式でパラレルと呼ばれています。そしてもうひとつが外周側から内周側へ信号を読み出していく方式でオポジットです。現在は、1層目から2層目への再生は自動的に切り換わるドライブやプレイヤーが主流となっているため、切り替え時間が短くてすむオポジット方式が多く採用されます。このとき、DVDメディアを同じ方向に回転させたまま、1層目と2層目を続けてデータの再生をさせるためには、2層目の記録パターンを逆にする必要がるというのが定説でした。つまり2層目の情報を逆回転方向に記録する必要ある、というわけです。 DVDプレスに利用されるDVD-ROMでは、しかし、同じ回転方向に記録した基材を貼り合わせていろいろ試してみたところ、記録パターンを逆にしなくてもそのまま読めることが分かりました。これによって2層ディスクの原盤を作成するときにも特殊な技術を使わずにすむようになり、コストアップすることなく2層ディスクが作れるようになったのです。

